2006年10月17日(火)〜23日(月)
京都・恵文社一乗寺店ギャラリーアンフェールにて個展「むすびのいろ」を開催しました。


関西をはじめ、九州、関東、広島など、各地から来てくださった皆さま、ほんとうにありがとうございました。
初日、京都新聞夕刊にも取材、掲載していただきました。

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展示の様子ともろもろ

出町柳駅から叡山電車に乗って一乗寺駅で降ります。
恵文社一乗寺店の入口 その書店の奥にギャラリーアンフェールがあります。
入ってすぐのところ。あいさつ文(下記参照)とプロフィール。左には赤い「色水引」の束。右下には今回の主役の雁皮紙。


「むすびのいろ」展にあたって

水引工芸を始めて、この秋で11年が過ぎました。

何も知らない頃は、「水引=祝儀袋」という簡単な図式を描いていましたが、いざ足を踏み入れてみると、それ(折形)はとても敷居の高いもので、はずかしながら近づきたいという思いを心の内に秘めつつも、その部分を避けるかのように、普段の暮らしに水引を取り入れることを主に活動してきました。

しかしまるでその気持ちを見透かされたかのように、2年程前に大切な友人から大切な方へのお祝いにどうしても祝儀袋を作って欲しいと依頼され、悩んだ末にとうとうとりかかることに。

祝儀袋を作るにあたって、私には未知の理想的な和紙がありました。これも実は長い間、あちこちを探していたものの出会えずにおりましたが、先の依頼の直後、初めて訪れた店で希望通りの和紙と出会うことに。それは、「こんな感じの」という私の発する曖昧ないくつかの形容詞をもとに、とても和紙に詳しいその店の女性が数千の和紙の中から探してきてくださったもの。その紙が「雁皮紙(がんぴし)」という、布で言えば絹のような手触りの手漉きの和紙です。以来、私は少しずつ自分らしい祝儀袋を生み出して行くことになりました。

祝儀袋については、私が水引を始めるきっかけともなった「日本の折形」の著者、故・山根章弘氏の書かれていることを基本にし、その上で少し現代の「いろ」を取り入れるのが私の作品です。水引には数百色の色が存在しますが、あまり色に頼らないこと、和紙もあまり派手なものを選ばないこと、それよりも結びの意味や素材の持ち味、気持ちを重ねるということを中心にしています。

生きている間に誰もが何度も遭遇する、お祝いのとき。今回の展示が、そのときに自分らしいお祝いのカタチを見つけるきっかけになってもらえたら、とてもしあわせに思います。

2006年10月吉日

入口側においたテーブルは芳名帳などを置いていました。途中お祝いのお花をいただいたのでいっそう華やかに^^
今回、作品と共にF4号のキャンバスに祝儀袋等を作る際にイメージした絵を飾りました。
アクリル絵の具で10枚。空間を埋めるのに役に立ってくれました。
いただいたお花。
以前銀座の個展の時も、別の方にここのお花やさんのお花をいただいたことがありました。銀座「司」。イメージしてくださって嬉しい。
祝儀袋の数々。
小さな作品なのでボリュームを出すのにかなりの量を作りました。
新作は「うさぎの月謝袋」。
屠蘇器飾りも持って行きました。
これは「木の花包み」。

3人の作家とのコラボレーション


3人の作家の袱紗(ふくさ)

「祝儀袋」だけの展示をしよう!と思い立ったときに、それにはまず「袱紗」が欠かせない!と思いました。
仕事がら、色々な作家の方々との付き合いがありましたので、
その中で布と糸にまつわる3人の作り手に今回製作をお願いしました。

 袱紗を製作する上で希望したことは「私のつくる祝儀袋が入ること」という基本的なことと、
「今までなかったような袱紗を作って欲しい」ということでした。
それは晴れの日以外でも使える、例えば化粧ポーチになったり、銀行へ行くお供になったり、小物を入れたりできるもの、
また、かしこまった席ではなく、とても仲のいい友人のパーティーの時にバッグからとりだして、にっこりじまんしたいようなもの、
伝統を守りつつも崩したもの・・・などなどです。

できあがって来た袱紗はご覧の通り、個性的な作品たちとなりました。
作家の年代もそれぞれ。その袱紗に合わせて私自身も祝儀袋を作っています。
中には水引を使わず、大事にしていた紙を主に遊んだものもあります。
大切なものをしまう「いれもの」として、あらためて袱紗という文化を見直していただけたら、
今回の展示もさらに意義のあるものとなると考えています。


1.石神あづささんとのコラボレーション

石神さんからのメッセージ

今回の袱紗製作にあたって
袱紗の「包む」という伝統的な礼儀作法をから、大切な物への愛情のかけ方のようなものを感じ、
それが今回の製作への新たなインスピレーションになりました。
今回の作品には私が「糸味刺繍」と呼んでいる、ミシン刺繍がしてあります。
色合いを大切に混ぜた刺繍糸に、細いミシン糸で刺繍してゆく事で、
温かくて優しい糸の風合いに触れ、
微妙な色の混ざり具合や糸が出す繊細な線を味わう事が出来ます。
大切なものを仕舞う入れ物は同じくらい大切な物がいい。
そう考えた私は、今回、空の宝箱を作るような気持ちで袱紗を製作しました。
この作品達が、大切なものを包む大切な入れ物となれれば、とても嬉しく思います。

力の入った全部で15点の袱紗に合わせて、私も祝儀袋を作りました。
フランスのバターに包み紙を使ったり、友禅紙や中原淳一の和紙などで遊んでみました。男性のお客さまにも人気でした。

2.西川 晴恵さんとのコラボレーション

西川さんからのメッセージ

今回の袱紗製作にあたって
2006年の今、を生きる私達にとっての「日本の袱紗」を作りたいと思いました。
私の仕事は糸を染め、織り、布にすることです。
ふくさの形そのものは、極々シンプルなものを作りました。
みなさんに、天然の素材・色そして
手織りの布そのものの持つ質感や色、魅力を感じていただけたら幸いです。
(縫製協力:松田祐保子)

普段と違うアイテムの制作はかなり大変だったと思うのですが、美しい織りの袱紗が届きました。
それに合わせて作ったのは、ネパールの紙を使って、糸もネパールのヘンプを使いました。楽しく作った作品です。

3.矢野 仁美さんとのコラボレーション

矢野さんからのメッセージ

今回の袱紗製作にあたって
おめでたい席で交わされるご祝儀袋には、いつも温かいものが包まれています。
日本の文化の中でも変わらず大事にしてゆきたいと思う習慣であり気持ちです。
この度は、そんな「想い」を守るお布団のような袱紗を作らせてもらいました。
特別の日だけではなくて、もっと日常的にも使えるようなものをイメージして、
ポストに入れるまでの手紙や、通帳保管などにも使ってもらえたらと思います。
素材と素材、人と人、時代と時代、いろんなものがつながって、
そこにはきっとそれぞれにいろんな結びの色があるはずです。
そんな「いろ」のひとつになれることを嬉しく思います。

矢野さんらしいリネンやガーゼを使った袱紗の作品たち。
大人のカジュアルを意識して、祝儀袋はかっちりとしたものを作りました。すべて手漉きの和紙でしっとりしたイメージ。袱紗と祝儀袋に同じ結びを使ったものも!
美しいお花をいただきました。
六本木の「ゴトーフローリスト」を選んでくれてびっくり^^
ここも大好きなお花やさんです。
その他の作品。
小さな物がいろいろ。
小石シリーズは今回のための新作。
瓶入りの花箸置きも初めて関西入り(笑)
以上です。
見てくださってありがとうございます。

↓は京都でいただいたプレゼント。ほんとにほんとにありがとうございました。
←げち屋さんのフリペ?

→たくさん見ました。みずひき草


ここまで



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